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相続財産管理人はどんな仕事をしますか
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相続財産管理人の仕事には、報告、管理、公告、弁済などの仕事があります。
参照:相続財産法人って何?
相続財産管理人に関するタイムスケジュール
時間(最短ケース) 家庭裁判所 相続財産管理人 選任審判 相続財産管理人の選任 審判から2か月後 債権者・受遺者確認の公告 同4か月後 相続人捜索の公告 ⇐捜索公告申立て 同10か月後 相続人の不存在確定 同13か月後 特別縁故者の相続財産分与申立て期間終了
共有財産は他の共有者に帰属①報告の仕事
相続財産管理人に選任されると、選任から1か月以内に故人の財産を調査して財産目録を作成し、家庭裁判所に提出します。職務が1年以上続くときは、1年に1回、財産管理の状況を家庭裁判所に報告します。国庫に帰属させるときも国に報告します。
②公告の仕事
公告とは、国が発行している官報に載せることです。上の表のように、選任の公告から2か月後、相続財産管理人は、債権者と受遺者を確認するために公告し、その2か月後に相続人捜索の公告を家庭裁判所に申立てます。
③管理の仕事
民法103条に定められた保存・利用・改良の行為をします。保存とは現状を維持するための行為であって、不動産についていえば修繕がこれに当たります。ひびの入った窓ガラスを直すのは保存です。利用とは、例えば、賃貸借契約、お金の貸付などです。改良は財産の価値を増す行為であって、空調機を設置したりすることなどです。三つの中では保存が仕事の中心になります。
④財産処分の仕事
裁判官の許可を得ながら、不動産、自動車、株式などを売却し,お金に換えます。これは民法103条の権限外となりますので、事前に家庭裁判所に「権限外行為許可」の申立てを行い、許可審判をもらいます。
⑤弁済の仕事
債権者がいた場合、相続財産管理人が財産をお金に換えて債権者に配当します。いわば、破産管財人のような仕事です。債権者が多くて財産が足りない場合は、財産を按分して配当します。受遺者には遺言に則って分配します。内縁関係などの特別縁故者には、相続財産管理人が、相続財産分与の審判にしたがって手続きします。
⑥国庫に帰属させる仕事
債権者、受遺者、特別縁故者がいた場合は、その人たちに財産を分配し、さらに共有財産については他の共有者に持分を移し、それでも残った財産は国庫に入ります。相続財産管理人は、使った財産の内訳を国に報告します。
途中で財産がなくなったときは、相続財産管理人選任処分の取消しの申立てを行い、審判によって職務が終了します。
相続人が出てきたら…
公告をしたら相続人がひょっこり現れた、ということもあります。その場合は、相続人が相続財産を管理することになります。相続財産管理人は、選任後に行った行為について相続人に報告しなければなりません。
関連条文
民法・家事事件手続規則
▽民法103条
権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。
一 保存行為
二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為
▽家事事件手続規則4条
公告は、特別の定めがある場合を除き、裁判所の掲示場その他裁判所内の公衆の見やすい場所に掲示し、かつ、官報に掲載してする。
2 公告に関する事務は、裁判所書記官が取り扱う。
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