親の戸籍の取得を妻に頼みたいのですが、可能ですか

相続手続きで欠かせないのが戸籍謄本です。しかし、親族であれば、誰でも戸籍謄本を取れるわけではありません。戸籍法では、戸籍謄本の交付を請求できるのは、戸籍に載っている人、その配偶者、直系の尊属・卑属に限定されています。直系尊属とは父母や祖父母、直系卑属は子や孫を指します。

戸籍謄本

夫の親の戸籍謄本を取得するには委任状が必要

したがって、夫とその親が別の戸籍になっているとき、妻が通常の申請方法で義父母の戸籍を取得することはできません。夫と親が同じ戸籍であれば、夫が「戸籍に載っている人」となりますので、妻は戸籍謄本を取ることができます。その謄本に親の記載もあります。いずれの場合も孫ならば祖父母の戸籍謄本を取得できます。

わかりやすくするために「クレヨンしんちゃん」を例に取ると、野原ひろしさんと秋田のじいちゃんが別戸籍であるとすると、みさえさんは秋田のじいちゃんの戸籍謄本を取得することはできません。戸籍謄本の請求に年齢制限はないので、孫のしんちゃんは、意思能力がある年齢になれば取得できます。

とはいっても、妻が義父母の戸籍謄本を取得する方法はあります。夫の委任状と、自分の運転免許証など本人確認書類をもって役所にいけば交付してもらえます。郵送での請求もできます。委任状については、ホームページからダウンロードできる自治体が増えています。

権利を行使するときにも取得できる

続柄に関係なく戸籍謄本を取れることがあります。それは、自分の権利を行使したり、義務を履行したりするために必要な場合です。例えば▽お金を借りていた人が亡くなって、貸していた人が相続人を把握するために、亡くなった人の戸籍を見る▽相続人となったおい・めいが亡くなったおじ・おばの戸籍を見る――ときなどです。こうした場合は、権利・義務が発生した原因、戸籍謄本を必要とする理由などを請求時に明らかにしなければなりません。

士業者も取得できる

行政書士などの士業者も戸籍謄本を取得することができます。これは「戸籍法10条の二」の第3項に規定されています。戸籍謄本の交付を請求できるのは、「受任している事件又は事務に関する業務を遂行するために必要がある場合」です。請求する際は、自分の資格、業務の種類、依頼者の氏名などを明らかにしなければなりません。

関連条文
戸籍法第10条
戸籍に記載されている者(中略)又はその配偶者、直系尊属若しくは直系卑属は、その戸籍の謄本若しくは抄本又は戸籍に記載した事項に関する証明書(以下「戸籍謄本等」という。)の交付の請求をすることができる。
戸籍法第十条の二 前条第一項に規定する者以外の者は、次の各号に掲げる場合に限り、戸籍謄本等の交付の請求をすることができる。この場合において、当該請求をする者は、それぞれ当該各号に定める事項を明らかにしてこれをしなければならない。
一 自己の権利を行使し、又は自己の義務を履行するために戸籍の記載事項を確認する必要がある場合 権利又は義務の発生原因及び内容並びに当該権利を行使し、又は当該義務を履行するために戸籍の記載事項の確認を必要とする理由
(以下略)
▽戸籍法第10条の三
第十条第一項又は前条第一項から第五項までの請求をする場合において、現に請求の任に当たつている者は、市町村長に対し、運転免許証を提示する方法その他の法務省令で定める方法により、当該請求の任に当たつている者を特定するために必要な氏名その他の法務省令で定める事項を明らかにしなければならない。
②前項の場合において、現に請求の任に当たつている者が、当該請求をする者(中略)の代理人であるときその他請求者と異なる者であるときは、当該請求の任に当たつている者は、市町村長に対し、法務省令で定める方法により、請求者の依頼又は法令の規定により当該請求の任に当たるものであることを明らかにする書面を提供しなければならない

戸籍法

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA