借地の上の建物を所有しているときの相続はどうなりますか

賃借権移転登記が必要なケースもある

故人が、賃借した土地の上に立つ建物を所有していた場合、相続の際は、建物と賃借権を相続します。したがって、賃借権が登記されているときは、建物の所有権移転のほかに賃借権移転の登記申請が必要になります。

この場合、遺産分割協議書に、賃借権を誰が取得するのか記載しておきます。記載がないと法務局で賃借権の相続登記は受理されません。

借地上の建物相続のイメージ写真

建物を登記すれば対抗できる

賃借権が登記されていなければ建物のみ相続登記します。

賃借権の登記はあまり行われていません。その理由は、賃借権を登記するには、貸主の協力が要るからです。

将来、土地が売買されて、買った人が借主に明渡しを求めくることがありえます。その時、賃借権を登記していなければ、土地を利用する権利を主張(対抗)できないのではないかと心配になります。

しかし、借地借家法で、建物について土地の借主名義で登記していると、第三者に賃借権を主張できることが定められていますので安心してください。この登記は、貸主の協力がなくても借主だけでできます。

貸主の承諾は不要

相続人が賃借権を引き継ぐ場合、貸主の承諾は必要ありませんし、賃貸借契約書の名義変更をしなくても問題ありません。ただ、今後のことがあるので貸主に連絡はしておきましょう。契約書の内容によっては、建替えや増築する時に貸主の許可が必要になる場合もあります。

賃借権の相続登記する際の登録免許税は、固定資産税評価額の0.2%です。

関連条文
▽借地借家法10条
借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。

借地借家法