証券会社の口座がわかりません。上場株式の相続手続きはどうしたらいいでしょうか

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故人(被相続人)がどの証券会社でどんな株式を売買していたのか、詳細に知っている相続人は少ないでしょう。株式は預貯金以上に実態が見えにくいものです。そもそも株取引をしていることを知らず、遺品の整理をしていたら、証券会社からの取引報告書がみつかった、というケースもあります。預貯金より、株式の方が額の大きい場合もあります。しっかりとした全体像の把握と相続手続きが必要です。

他の財産の相続手続きと同様、法務局で取得する法定相続情報一覧図の写し(無料)があると書類が少なくて済みます。

証券会社の口座の調査はどうするの

取引残高報告書や証券会社のカードが見つけられれば、取引店・口座番号がわかります。見つからない場合は以下のようにします。

証券会社がわからない場合

株取引をやっていたことは知っているけれど、どの証券会社で取引していたのかわからないときは、証券保管振替機構(ほふり)に登録済加入者情報の開示請求を行います。開示請求は郵送で行います。結果の送付には2~3週間かかります。「ほふり」は、有価証券の保管や受け渡しを簡素化するための機関(株式会社)で、日本取引所グループや日本証券業組合などを主要株主となっています。
証券保管振替機構のページ

必要書類

・開示請求書
・法定相続人であることを証する戸籍等または法定相続情報一覧図の写し
・請求者の本人確認書類(運転免許証など)
・開示請求書の「株主(被相続人)の住所」に記載したすべての住所についての確認書類
 法定相続一覧図の写し、戸籍の附票、住民票など
・請求者が代理人のときは、委任状(法定相続人の実印)と法定相続人の印鑑証明書(発行から6か月以内)
*書類の原本は、返信用レターパックプラスを同封すると開示請求結果に同封して返却されます

開示請求書の見本の一部

取引店がわからない場合

証券会社がわかるものの、取引店や口座番号がわからない場合は、証券会社に照会すると教えてくれます。遺産分割協議や相続税申告に必要な残高証明書(死亡日の時点)も併せて取得しましょう。保有残高や銘柄がわかります。証券会社に故人の死亡を伝達すると、預貯金と同様、口座は相続手続きが終わるまで凍結されます。

必要書類の例

(証券会社、依頼人によって異なりますので確認してください)
・口座照会依頼書
・残高証明書等作成依頼書
・被相続人の死亡が確認できる書類
 戸籍(除籍)謄本、住民票除票の写し、または法定相続情報一覧図
・相続人との関係が確認できる書類
 戸籍謄本、または法定相続情報一覧図
・依頼人の本人確認書類
運転免許証など
*代理人が照会する場合は、委任状(相続人の実印)と相続人の印鑑証明書(発行後6か月以内)が必要

株式の評価

口座や残高がわかれば、遺産分割協議の中で扱いを決めます。株式の評価は相続人同士で話し合って自由に決めますが、それには相続税に関する税務署の基準が参考になります。

上場株式については、「死亡日の終値」を基本としつつ、
①死亡した月の毎日の終値の平均額
②前月の毎日の終値の平均額
③前々月の毎日の終値の平均額

で「死亡日の終値」より低いものがあれば、それで評価します。こうした値は、証券会社によっては残高証明に参考として記載されていることがあります。

相続手続き

相続人の間で合意したら遺産分割協議書を仕上げ相続手続をおこないます。相続手続に必要な書類は、取引店に持っていくか郵送します。

必要書類の例

(遺言書がある場合、遺産分割協議書がない場合は必要書類が異なります)
・相続手続依頼書
・被相続人の出生から死亡までの連続した戸籍謄本または法定相続情報一覧図
・相続人全員の印鑑登録証明書(発行から6か月以内)
・遺産分割協議書の写し

相続人が証券会社に口座をもっていないとき、故人の口座を引き継ぐには、新たに口座を開設する必要があります。故人の株式などはそこに移されますので、相続人が売却などを行います。

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