相続人がいないと故人の財産は法人に移されるというのは、どういう意味ですか

相続財産法人は、相続財産管理人が代理

所有者が亡くなって、相続人がいなければ、相続財産を管理する人がいなくなります。このため、いったん誰の物でもない特別財産として管理します。この際、民法は、財産に法人格を与えることにしています(相続財産法人)。

法人というと、会社のような組織を思い浮かべますが、法人格は「組織」という意味ではなく、法が与えた「人格」という意味です。「人」と同様、権利や義務の主体となります。自然人ではないけれど、権利や義務をもっている存在です。

とはいえ、法人格は自然人がかかわって初めて主体として機能します。関わる人を相続財産管理人といいます。相続財産法人を代理する立場です。

相続財産法人のイメージ写真

相続財産管理人が清算

特別縁故者、受遺者、債権者ら利害関係人か、検察官の請求で家庭裁判所が相続財産管理人を選任し、相続財産管理人は故人の借金を払うなど清算を行います。残った財産は、特別縁故者に分与されたり、国庫に帰属したりします。

相続財産管理人になるには、特別な資格はいりません。故人との利害関係のない人、弁護士などが選ばれます。

相続財産管理人選任の申し立て方法

故人の最後の住所地の家庭裁判所に、申立書と添付書類を提出します。

添付書類は、「相続人のあることが明らかでない」ことをはっきりさせるために、故人本人や父母など、かなりの数の戸籍謄本が必要になります。相続財産管理人の候補者がいる場合は、その人の住民票もつけます。

相続財産法人の消滅まで

相続財産管理人が選任された後の一般的は流れは以下のようになります。何度も公告をして権利を持つ人が現れないか様子をみます。

  • 家庭裁判所は、相続財産管理人が選ばれたことを知らせるため公告します
  • 相続財産管理人は、①の公告から2か月経過後に相続財産の債権者、受遺者を確認するために公告をします
  • 家庭裁判所は②の公告から2か月経過後に、相続人をさがすために6か月以上の期間を設けて公告します。
  • 相続人が③の公告で現れなければ、相続人がいないことが確定します
  • 特別縁故者らが、③の公告期間満了後3か月以内に財産分与の申し立てをすることがあります。
  • 相続財産管理人は、債権者や受遺者に支払いをしたり、特別縁故者に財産を分与するための手続きをしたりします。
  • すべての支払いをして財産が残ると、国庫に引き継いで手続きが終了します。これをもって相続財産法人は消滅し、相続財産管理人の代理権も消滅します。

関連条文
民法951条
相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。
民法952条
前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の管理人を選任しなければならない。
2 前項の規定により相続財産の管理人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なくこれを公告しなければならない。

民法

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