-
毎年同じ額を暦年贈与すると税金がかかると聞きましたが、本当ですか
-
年間110万円の基礎控除額以下の贈与には、贈与税はかかりません。しかし、毎年同じ額だと贈与税がかかる可能性があります。
その理由は、「定期贈与」という課税方法があるからです。
贈与者と受贈者が合意して、一定期間、毎年同じ額を渡すことは「定期金給付契約に基づく定期金に関する権利」を贈与したと解釈されます。
例えば、令和4年1月1日から10年間、毎年4月1日に100万円ずつ贈与する契約を結んでいたとしましょう。これは、令和4年、5年、6年…の各年の贈与ではなく、令和4年に一度に「10年間にわたり、毎年100万円ずつ給付を受ける権利」を贈与したものとして課税されます。つまり1000万円に対する贈与税がかかるのです。
税務署に「定期贈与」と判断されないためには
- 毎年、贈与契約書を作成する
- 贈与の金額、時期を毎年変える
- 銀行振込で証拠を残す
などの対策があります。単年の贈与をアピールするためです。
これと対極にあるのが、「10年間、毎年100万円を贈与する」という契約書を作成することです。これは定期贈与の「動かぬ証拠」となります。定期贈与の契約書がなければよいのかというと、そうではありません。贈与契約は口約束でも成立する諾成契約ですので、書面がなくても、約束があったことを立証できれば課税されます。したがって、上記のような対策が必要になってくるのです。
それにしても、1年目は4月1日に100万円、2年目は5月1日に105万円…というのは、なんとも徒労感があります。
昨年末、令和4年度税制改正大綱に関して「贈与税と相続税の一体化」が話題になりました。若い世代への資産移転を促進するため、暦年贈与制度の見直しが進められています。「110万円以下非課税」についても、非課税となる期間(死亡前の3年間は相続税課税)などが変更される可能性が高いでしょう。
関連条文
民法、相続税法基本通達
▽民法549条
贈与は、当事者の一方がある財産を無償で相手方に与える意思を表示し、相手方が受諾をすることによって、その効力を生ずる。
▽相続税法基本通達24-1
相続税法第24条に規定する「定期金給付契約に関する権利」とは、契約によりある期間定期的に金銭その他の給付を受けることを目的とする債権をいい、毎期に受ける支分債権ではなく、基本債権をいうのであるから留意する。