高齢者が借りられる生活福祉資金とは?

生活福祉資金とは、都道府県の社会福祉協議会が、経済的に困っている世帯に貸してくれるお金です。窓口は、市区町村の社会福祉協議会です。このうち、高齢者世帯に関係の深い部分を、奈良県社会福祉協議会を例に見ていきましょう。

生活福祉資金のイメージ写真

一時的に困った時に支援

高齢者世帯の条件は、65歳以上の高齢者がいて「世帯収入が生活保護基準額の2.5倍程度まで」です。

福祉資金のうち、緊急小口資金以外は福祉費と呼ばれています。一時的に困った時、病気の時、介護で必要な時、住宅の改修をする時などに貸してもらえます。

貸付限度額は、それぞれの理由に応じて設定されています。住宅の増改築が250万円、1年以内の病気療養が170万円などとなっています。

福祉資金の福祉費

理由貸付限度額
住宅の増改築、補修等及び公営住宅の譲り受けに必要な経費250万円以内
住居の移転等、給排水設備等の設置に必要な経費50万円以内
福祉用具等の購入に必要な経費170万円以内
負傷又は疾病の療養にかかる必要な経費(健康保険の例による医療の自己負担額のほか、移送経費等、療養に付随して要する経費を含む)及びその療養期間中の生計を維持するために必要な経費療養期間が1年を超えないときは170万円以内 1年を超え1年6月以内であって、世帯の自立に必要なときは230万円以内
介護サービス、障害者サービス等を受けるのに必要な経費(介護保険料を含む)及びその期間中の生計を維持するために必要な経費介護サービスを受ける期間が1年を超えないときは170万円以内 1年を超え1年6月以内であって、世帯の自立に必要なときは230万円以内
日常生活上一時的に必要な経費50万円以内

不動産担保型生活資金とは

居住用の不動産を担保にして、生活資金を貸し付ける制度もあります。貸付限度額は、土地評価額の70%程度で月額30万円以内です。生活保護が必要な世帯では、月々、生活保護の生活扶助基準額の1.5倍以内の額の貸し付けとなります。生活保護を受けるまでに、この制度を利用し、限度額まで達して貸し付けが終わった段階で、生活保護に移行します。

福祉資金を借りる流れは?

福祉資金の福祉費を借りる際の流れは以下のようになります

  • 市町村の社会福祉協議会や民生委員に相談
  • 借入申込書などを提出
  • 貸付審査
  • 貸付決定通知書の送付
  • 借用書の提出

生計維持できるか、返せるか審査

利用目的がはっきりしないと、福祉資金の福祉費は貸してもらえません。貸付審査では、生計を維持できるか、返済できるかを審査されます。できないと判断された場合は、貸してもらえません。生計維持とは、給与や年金など定期的な収入で日常生活費を賄えることです、

福祉資金の利子はいくらなの?

福祉資金の福祉費の利子は、保証人がある場合は無利子ですが、ない場合は年1.5%です。返済が猶予される据置期間は貸付け日(分割による交付の場合には最終貸付日)から6月以内。償還(返済)期限は据置期間の経過後20年以内となっています。

不動産担保型の生活資金の利子は、年3%か長期プライムレートのいずれか低い方の利率です。据置期間は、契約終了後3月以内、償還期限は据置期間終了時です。保証人が必要で、推定相続人の中から選任されます。

不良債権化18%

生活福祉資金貸付制度とは、高齢者世帯のほか、障害者世帯、低所得者世帯、失業者世帯などにお金を貸し付ける制度で、①総合支援資金(主に失業者対策)②福祉資金③教育支援資金④不動産担保型生活資金の4種類があり、今回は②と④を紹介しました。

平成27年度末の数字で、福祉費の不良債権化割合は18.8%、不動産担保型の不良債権化割合は0.6%です。