マイナンバーカードの交付が開始されてから、まもなく7年になります。マイナポイント付与で利用が広がり、22年末に運転免許証の8100万枚を超えそうな勢いで、カードに関する様々なニュースを耳にするものの、機能が増えすぎて全体像が見えにくくなっています。今、いったい何ができて、これから何ができそうなのか、まとめてみました。

マイナンバーカードの見本

マイナンバーカードとは

カード自体がリアル空間での本人確認書類となり、ICチップがオンライン空間での本人証明をしてくれます。申請により無料で交付されます。

(表面)本人確認書類として使える

顔写真と氏名、住所、生年月日、性別などを記載

(裏面)マイナンバー確認書類として使える

12桁のマイナンバー記載。ICチップがついている(オンラインで本人証明)

マイナンバーカードでできること

本人確認書類として使える銀行口座開設、パスポート発給、ライブ会場の入場、携帯電話の契約、各種会員登録など
コンビニで証明書が取得できる住民票の写し、印鑑登録証明書、各種税証明書、戸籍謄本・抄本、附票の写しなど
健康保険証として利用病院や薬局でカードリーダーにかざして使用。マイナポータルで診療、薬剤情報、医療費などが見られる。 24年秋ごろ健康保険証を廃止予定
公金受取口座を登録給付金等の受取のための口座として、任意で登録。 受け取れるのは、年金、税、介護保険、健康保険、子育て、障害福祉、生活保護などに関する給付金等
新型コロナワクチン接種証明書の交付接種証明書アプリでマイナンバーカードを読み取ると、接種回数などを記載した新型コロナワクチン接種証明書をスマホに表示できる
自分の情報を確認税・所得、健康保険証、医療費、薬剤処方、年金資格、年金支払額、介護保険の資格など
国民年金に関する手続き国民年金被保険者の資格取得(種別変更)の届出、国民年金保険料免除・納付猶予申請など
その他行政手続き介護、子育てなどに関する一部の手続きがオンラインでできる

これからできるようになること

パスポートの更新申請旅券の残りの有効期間が1年未満となって新たな旅券の発給を申請する場合には、電子申請が可能になる2023年3月27日開始予定
運転免許証として利用免許番号、交付年月日など運転免許証情報をマイナンバーカードのICチップに記録。2024年度中開始予定
転出をオンライン届出市区町村への行政手続きだけでなく、運転免許証、ライフライン(電気・ガス・水道)等の民間手続きも含め、引越しに伴う手続きをオンラインで一括して行う未定

最近のマイナンバーをめぐるトピック

スマホ搭載

マイナンバーカードの電子証明機能をスマホに登載するシステムの開発が進められています。これによって、マイナンバーカードをリーダーにかざさなくても、スマホだけで様々なサービスが受けられるようになります。

将来的にスマホひとつでできる手続きや利用可能なサービスの一部

  • 健康保険証として使用
  • 証明書のコンビニ交付
  • 確定申告
  • 給付金申請
  • 薬剤・検診情報確認
  • 銀行口座の開設
  • 携帯電話申込み
  • 住宅ローン契約

Androidのスマホについては、23年5月11日から対応を開始しますが、iPhoneは未定です。22年12月15日に岸田首相がアップル最高経営責任者(CEO)のティム・クック氏と面会してiPhoneへのマイナンバー機能の登載を要請し、クック氏が前向きな姿勢を示しました。登載は24年以降になる見通しです。

2万ポイント付与

22年6月から「マイナポイント第2弾」として、決済サービスの利用で5,000円分、健康保険証として登録で7,500円分、公金受取口座の登録で7,500円分、計2万円分のマイナポイントをもらえるようになっています。この対象となるマイナンバーカードの申請期限は22年末でしたが、これを2か月延長して23年2月末にしました。窓口の混雑を減らすのが目的です。

運転免許証との一体化

24年度末が予定されていましたが、河野デジタル相が22年10月13日の会見で「前倒しを検討」と表明しました。前倒しについて警察庁で検討が進められています。

健康保険証

21年10月からマイナンバーカードの健康保険証利用がスタートしました。利用するにあたって医療機関で必要なシステムの導入は、23年4月が期限とされていましたが、いまだに導入が4割程度にとどまっていることから、23年9月末まで半年間延長することになりました。河野デジタル相は、24年秋に健康保険証を廃止する方針を明らかにしています。

交通系カードとの連携

地方自治体の住民に限定したバス運賃割引サービスなどに利用します。「Suica(スイカ)」や「ICOCA(イコカ)」といった交通系ICカードと連携させます。23年度にも希望する自治体で始めます。

チケット販売

22年11月28日、松野官房長官は、スポーツやコンサートのオンラインでのチケット購入にマイナンバーカードを使えるよう検討することを表明しました。

そもそもマイナンバーとは

マイナンバーは住民票をもつ全住民に付けられる12桁の番号です。マイナンバーによって、複数機関がばらばらにもっていた個人情報を、同一人の情報として一体的に管理し、社会保障や税に関する業務を効率化することができます。国は、マイナンバー導入の大義として①公平・公正な社会の実現②行政の効率化③国民の利便性の向上を挙げています。

①公平・公正な社会の実現

  • 所得を把握しやすくし、税や社会保障の負担を不当に免れたり、不正に給付を受けとったりすることを防止する
  • 本当に困っている人にきめ細かな支援をする

②行政の効率化

  • 行政機関で行っている情報の照合、転記、入力に要する時間の削減
  • 業務の連携が進み作業の重複を減らせる

③国民の利便性の向上

  • 社会保障や税関係の申請時に添付書類を減らせる
  • 自分の情報を確認しやすくなる

改めて問う。安全なの?

カードには文字をレーザーで印字し、複雑な紋様をほどこしているので、偽造は困難です。

ICチップの情報漏洩が気になりますが、記録されている情報は、カード面に記載されている情報と電子証明書などで、税、年金、医療などプライバシー性の高い情報は入っていません。カードリーダーにかざすと記録情報を確認できます。

電子証明書には、利用者証明電子証明書と署名用電子証明書の2種類があります。電子証明書には、オンラインサービスや電子署名で使う「鍵」が入っています。

①利用者証明電子証明書

ログインした人が利用者本人であることを証明してくれます。これによって、コンビニで証明書が取得できます。

②署名用電子証明書

インターネットで文書を作成・送信する際に利用します。文書が本人が作成し、送信したものであることを証明します。e-Taxの確定申告などで使えます。

ICチップの情報を盗もうとすると、情報を消去する機能がついています。また、証明書やアプリごとに暗証番号が設定されているので、カードを不正入手した者もなりすましができません。暗証番号は一定回数以上まちがえるとロックされます。

紛失した場合

カードを紛失したときは、マイナンバー総合フリーダイヤル(0120-95-0178)に連絡すると一時停止措置が取られます。24時間365日受け付けています。

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