マンションを所有しています。遺言書にどう書いたらいいですか

マンションを承継させる遺言を書く時は、登記事項証明書の表題部に記載されている内容を転載します。マンションの登記情報は一戸建てより多くなります。自筆証書遺言では、マンション情報を手書きすることに負担を感じることもあります。その場合は財産目録をつけるとよいでしょう。

建物全体と専有部分情報

マンションは、所有者の専有部分と共用部分に分かれる区分所有建物です。登記事項証明書の表題部は、まず全体の建物や土地を表して、次に専有部分の建物と敷地権を表す形になって、以下の4つに区画されています。

  • 一棟の建物の表示
  • 敷地権の目的である土地の表示
  • 専有部分の建物の表示
  • 敷地権の表示
マンションの登記事項証明書の見本

マンションの登記事項証明書の見本

一戸建ては、登記事項証明書が土地と建物に分かれていますが、マンションは1つの登記事項証明書に土地、建物両方の情報が記載されています。遺言書作成に当たって取得するのは、一戸建ては土地・建物2通、マンションは1通です。

遺言書には、登記事項証明書の表題部要素を抽出して転載します。それぞれに記載されている項目は以下の通りです。

登記事項証明書の表題部遺言書
「一棟の建物の表示」に「所在」「建物の名称」「構造」「床面積」「登記の日付」「一棟の建物の表示」に「所在」「建物の名称」
「専有部分の建物の表示」に「不動産番号」「家屋番号」「建物の名称」「種類」「構造」「床面積」「登記の日付」「専有部分の建物の表示」に「家屋番号」「建物の名称」「種類」「構造」「床面積」
「敷地権の目的である土地の表示」に「土地の符号」「所在及び地番」「地目」「地籍」「登記の日付」「敷地権の目的である土地の表示」に「土地の符号」「所在及び地番」「地目」「地籍」
「敷地権の表示」に「土地の符号」「敷地権の種類」「敷地権の割合」「登記の日付」「所有者」「敷地権の表示」に「土地の符号」「敷地権の種類」「敷地権の割合」

土地の符号とは、土地を特定しやすいように付ける番号です。土地がいくつかの筆に分かれていると、1,2,3と番号を振っていきます。

マンションの遺言文例

遺言書の実際の書き方例は以下のようになります。

第○条 遺言者は、遺言者の有する下記の不動産を、妻橿原花子(昭和15 年4月1日生)に相続させる。

(一棟の建物の表示)
所  在   橿原市大和八木町5丁目 25番地
建物の名称  ベルマンション橿原

(専有部分の建物の表示)
家屋番号   橿原市大和八木町5丁目 25番の203
建物の名称  203
種  類   居宅
構  造   鉄筋コンクリート造1階建
床 面 積   2階部分 69.77㎡

(敷地権の目的である土地の表示)
符  号   1
所在地番   橿原市大和八木町5丁目 25番
地  目   宅地
地  積   2645.33㎡

(敷地権の表示)
符  号   1
種  類   所有権
割  合   1234567分の9876

登記事項証明書が財産目録になる

遺言書に財産目録をつける場合は、登記事項証明書のコピーを財産目録とすることができます。登記事項証明書ではなく、ネットの「登記情報提供サービス」で取得した情報でもかまいません。紙の左上に「別紙1」などと別紙番号を振ります。財産目録には、各ページに署名・押印が必要です。登記事項証明書が複数枚になるときは、それぞれに署名・押印します。

保管制度では余白に注意

自筆証書遺言の保管制度を利用する場合は、上と右に5ミリ、左に20ミリ、下に10ミリの余白をつけなくてはなりません。余白には一切、文字が入っていてはいけません。登記事項証明書の余白はこれより小さく、署名・押印し、「別紙〇」やページ数も入れなければなりませんので、縮小コピーする必要があります。両面コピーはしません。

ページ数は、本文と財産目録を合わせて「1/2」「2/2」などとします。

登記情報提供サービスを使った財産目録の見本

登記情報提供サービスを使った財産目録の見本