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遺産分割協議書に決まった書き方はありますか
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遺産分割協議書の書式について定型はありません。しかし、有効な文書とするとともに、トラブルを防ぐためにいくつかの留意点があります。
全般
- 作成年月日を明記
- 作成枚数は原則、相続人の人数分
争いがないケースでは、1通だけ作成して代表者が保管し、あとの相続人には写しを渡す方法もあります。
被相続人について
- 被相続人の氏名、死亡日、本籍、最後の住所地などの記載を戸籍謄本、住民票と同じにする
被相続人と戸籍・住民票に記載されている人物が同一であることを示すためです。
相続人について
- 相続人全員が合意していることを明記
- 相続人の氏名・住所の記載は、印鑑証明書に記載されているとおりに記載
署名した人が役所に登録している人と同一であることを示すためです。
- 相続人全員が署名し実印を押す(印鑑証明書を添付)
一人でも欠けていると無効になります。一つの文書に相続人全員が署名捺印することが難しいときは、同じ文書を相続人分作成し、各相続人が1人だけ署名捺印したもの(「遺産分割協議証明書」といいます)を作成します。相続人全員の文書一式は、遺産分割協議書と同じ効力をもちます。
遺産について
- どの相続人がどの遺産を取得するのかを明記
特定の相続人が全財産を取得する場合には、「全ての相続財産」などと書き、遺産を列挙しない方法もあります。 - 不動産の所在、地番などは不動産登記簿謄本(登記事項証明書)通りに記載
- 預金は銀行名、支店名、口座番号を正確に記載
金額を記載する必要はありません。 - 債務を記載
債務についは、原則、相続人が法定相続分を承継します。法定相続分と異なる承継、例えば一人だけが債務を引き受ける旨を協議書に書くことはできますが、これは相続人の間だけ有効であって、債権者に対しては効力がありません。債権者が承諾した場合にのみ他の相続人は免責されます(免責的債務引受) - すべての遺産を記載しないときは、記載されていない財産を誰が取得するのかを記載
- 新たな遺産が発見された場合の処理について記載
特定の相続人が承継するのか、改めて分割協議するのかなどを書きます