相続土地国庫帰属は、建物があると、どうしても申請できないのですか

建物があれば申請却下

相続土地国庫帰属制度を利用するときに、大きな壁になるのが建物です。建物がある土地は申請ができません。この要件があるため、全国で800万戸を超える空き家が建っている土地は申請ができません。

これには建蔽率は関係ありません。100㎡の土地の中に90㎡の建物があっても、1万㎡の土地の中に30㎡の小さな建物があっても同じく申請は却下されます。

ツタが生い茂った廃屋

小屋なら申請できる?

相続土地国庫帰属制度での「建物」とは、不動産登記規則111条に定める建物です。それは屋根と壁があって、地面に固定されている建造物です。物置小屋でも、屋根や壁があれば、建物になります。

屋根がなく、シートを被せたような小屋であれば、建物ではなく工作物と判断されるでしょう。通常の管理で間に合う工作物であれば不承認の理由にはなりません。

放置のリスクVS解体費用

建物がある土地について相続土地国庫帰属を申請したいときは解体するしかありません。大きな住宅を解体する場合の費用は数百万円に上ります。それでも、空き家+土地の「負動産」を手放せるメリットの方が費用負担を上回ることもあります。

空き家を所有すると、▽災害による倒壊▽荒廃による近所迷惑▽放火などのリスクがあり、空き家を撤去すると将来に渡って固定資産税などの負担が増えます。相続土地国庫帰属は、この両方の課題をまとめて処理できます。

申請後の解体が可能なケースも

建物は申請前に解体するのが原則ですが、承認申請後に建物を速やかに取り壊すことを予定している時は、申請が受理されることがあります。

関連条文
不動産登記規則第111条
建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない。

不動産登記規則