相続土地国庫帰属が始まってしばらく経ちましたが、承認件数はどのくらいあるのですか

令和5年に4月27日にスタートした相続土地国庫帰属制度。その後の承認状況が気になるところです。

法務省がまとめている7か月間の統計(令和5年11月30日現在)を見てみましょう

すでに48件の国庫帰属が決定

この間、申請件数は1,349件ありました。この制度の標準処理期間は8か月ですので、多くはまだ審査中ですが、標準処理期間より早く結論が出てすでに国庫帰属が決まっている土地が48件あります。

相続土地国庫帰属から7カ月間

申請1,349件、承認48件

承認が多いのは宅地

承認の内訳は宅地25件(52%)、農用地10件(21%)、森林2件(4%)、その他が11件(23%)となっています。宅地の承認が多くなっています。当初から予想されていましたが、山林にはハードルが高いようです。

相続土地国庫帰属の内訳(令和5年11月30日現在)

相続土地国庫帰属の承認の内訳

承認された土地がある都道府県

近畿京都府、滋賀県
北海道・東北北海道、宮城県、秋田県、福島県
関東群馬県、埼玉県、千葉県
北陸富山県、福井県
東海岐阜県、愛知県、三重県
中国岡山県、広島県
四国徳島県、 香川県、愛媛県
九州佐賀県、熊本県、宮崎県、鹿児島県

不承認はまだ少ない

承認の48件に対して、不承認は4件しかありません。不承認になった理由は、▽通行権が妨げられている(1件)▽国が金銭債務を負担することになる(3件)となっています。今のところ、境界や土地の形状などを理由にした不承認はありません。

申請後の取下げが多い

意外に多いのが申請後の取下げで、92件ありました。取下げ例には以下のようなものがあります。

  • 行政による土地活用が決定した
  • 隣の所有者が引き取ってくれる
  • 農地として活用される見込みとなった

なお、取下げた場合も、一筆あたりの国の審査手数料1万4,000円は返ってきませんのでご注意ください。

標準処理期間である8カ月が過ぎる令和5年末現在の数字が明らかになると、相続土地国庫帰属の今後が見えてくることになるでしょう。