改正住宅セーフティネット法が成立しましたが、どんな点が変わりましたか

高齢者が賃貸住宅に入りやすくする「改正住宅セーフティネット法」(注1)などが、令和6年5月30日に衆院本会議で可決・成立しました。①居住サポート住宅の認定②居住支援法人による残置物処理の推進③終身建物賃貸借の認可手続きの簡素化④居住支援協議会の設置--などが骨子になります。来年秋ごろに施行の予定です。そのポイントを押さえておきましょう。

(注1)「住宅セーフティネット法」は正式には、「住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律」といいます。

居住サポート住宅の認定制度創設

福祉事務所を設置する市区等村長が、入居者のサポートを行う賃貸住宅を「居住サポート住宅」(法律上は「居住安定援助賃貸住宅」)に認定します。

「居住サポート住宅」では、居住支援法人(注2)がICT(情報通信技術)などを活用した安否確認、訪問による見守り、必要に応じた福祉サービスへのつなぎを行います。

生活保護受給者が入居する場合は、福祉事務所が家賃(住宅扶助費)を大家さんに直接支払う代理納付を原則とします。家賃の債務保証は、国土交通大臣が新たに認定する家賃債務保証業者が行います。

(注2)居住支援法人とは、高齢者などの要配慮者の家賃債務を保証したり、見守りをしたりする法人で、都道府県が指定しています。奈良県では11法人が指定されています。

居住支援法人による残置物処理の推進

居住支援法人が行う業務に、入居者が死亡した後の残置物の処理を追加しました。入居者は居住支援法人と委任契約を結びます。これは、国交省が令和3年に作成した「モデル契約条項」にすでに示されていました。

終身建物賃貸借の認可手続きの簡素化

入居者が死亡するまで賃貸契約の更新がなく、死亡時に契約が相続人に引き継がれない終身建物賃貸借について、住宅のごとの認可から事業者ごとの認可に切り替えます。

居住支援協議会の設置(努力義務)

市区町村が居住支援協議会を設けます。居住支援協議会は、行政、住宅、福祉の関係者が連携して高齢者らの入退去をサポートする体制を整備します。

居住支援協議会

住宅福祉行政
宅建業者
賃貸住宅管理業者
家主
居住支援法人
社会福祉法人
都道府県・市区町村の住宅・福祉部局

関連条文
改正住宅セーフティネット法第40条
賃貸住宅に日常生活を営むのに援助を必要とする住宅確保要配慮者を入居させ、訪問その他の方法によりその心身及び生活の状況を把握し、その状況に応じた利用可能な福祉サービスに関する情報の提供及び助言その他住宅確保要配慮者の生活の安定を図るために必要な援助を行う事業(以下「居住安定援助賃貸住宅事業」という。)を実施する者(略)は、国土交通省令・厚生労働省令で定めるところにより、当該居住安定援助賃貸住宅事業に関する計画(略)を作成し、(略)当該居住安定援助計画が居住安定援助賃貸住宅事業を適切かつ確実に実施するために適当なものである旨の認定を申請することができる。

改正住宅セーフティネット法