どうしても財産を渡したくない子がいます。どうしたらいいですか

遺言で財産継承者から除外

遺言書を書き、財産を渡したくない子供以外の人に財産を引き継ぐ方法があります。しかし、この場合、その子供は、法律的に認められた自分の取り分(遺留分)を、他の相続人に請求することができます。この請求をしない場合のみ、財産を渡さないことができます。

確実に相続させないなら廃除する

遺留分を含め確実に「渡さない」ためには、その子供を廃除します。廃除とは、いうなれば相続人の資格はく奪処分です。家庭裁判所に請求し、裁判官が判断します。廃除は戸籍にも記載されます。

単に「嫌いだから」「仲がわるい」では廃除は認められません。条件があります。①被相続人に対する虐待や重大な侮辱②著しい非行――によって、信頼関係が破壊されていると客観的に評価できなければなりません。

暴言、使い込み、非行

判例で認められた廃除の例としては、

  • 長期間、継続的に暴言をはいた
  • 親の預金の名義を勝手に自分や妻子の名義に変えた
  • 父親の財産をギャンブルにつぎ込んで、家を売らなくてはならなくなった
  • 介護が必要であることを知りながら放置した
  • 幼いころから非行を繰り返し暴力団員と結婚した

などがあります。

廃除のカット写真

生前でも遺言でも

廃除の請求は、生前でも遺言でもできます。生前には、被相続人が家庭裁判所に請求します。被廃除者は審判が確定すると相続権を失います。遺言で意思表示した場合は、遺言執行者が廃除の申立てを行います。遺言で遺言執行者の指定がなければ、相続人らが家庭裁判所に選任を申立てます。被廃除者は、相続開始時に遡って相続権を失います。

裁判所に廃除が認められるのは2割くらいです。簡単ではないことがわかります。

審判の後になって、かわいそうになり、取り消したくなることがあるでしょう。その場合は、家庭裁判所に申立て、審判によって取り消すことができます。廃除はそのままでも、被廃除者に遺贈することはできます。また、被廃除者の子は代襲相続する権利があります。

関連条文
民法892条
遺留分を有する推定相続人(相続が開始した場合に相続人となるべき者をいう。以下同じ。)が、被相続人に対して虐待をし、若しくはこれに重大な侮辱を加えたとき、又は推定相続人にその他の著しい非行があったときは、被相続人は、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求することができる。

民法893条
被相続人が遺言で推定相続人を廃除する意思を表示したときは、遺言執行者は、その遺言が効力を生じた後、遅滞なく、その推定相続人の廃除を家庭裁判所に請求しなければならない。この場合において、その推定相続人の廃除は、被相続人の死亡の時にさかのぼってその効力を生ずる。

民法

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