墓じまいで永代供養墓の契約をしようと思っています。お墓のパンフレットに買いてある「合葬」とか「合祀」はどういう意味ですか

他のお骨といっしょに埋蔵

墓じまいをするときは、現在の墓に納めている遺骨を、永代供養墓に移します。永代供養墓の選択の基準として重要になってくるのが、遺骨の扱いです。いったん、他のお骨と共同埋蔵すると、特定の人のお骨を取り出すことができず、分骨・改葬が困難になりますので、最初の決断が大切です。立地や値段だけを基準にして選び、あとで後悔することのないようにしましょう。

法令の定義がない「合葬」「合祀」

永代供養でトラブルになりやすいのは、骨壺に納めずに、ひとつのカロート(納骨スペース)に、他の人の骨といっしょに遺骨を埋蔵する場合です。穏当な表現ではありませんが、「骨を混ぜる」といった言い方をする人もいます。これを「合葬」とも「合祀」ともいいます。法令による定義はなく、同じ意味にも、別の意味にも使われます。本稿では、「合葬」を使います。

永代供養墓では、①最初から合葬②一定期間後に合葬③ずっと合葬しないーーの3つのケースがあります。ここでは仮に③を「個別墓」、②を「時限個別墓」と呼ぶことにします。費用は①の合葬がもっとも安くなります。

②の「時限個別墓」については、墓地の契約書に期間が定められています。個別墓の期間について、「納骨後〇年とし、その後は合葬墓に納める」などとする条項を設けます。33回忌、17回忌など年回忌を期限としているところが多いです。最近、期間は短くなる傾向があります。③の個別墓では、それぞれの遺骨を、ずっと骨壺に納めて安置します。

自分の遺骨観をみつめる

遺骨に関する思い、「遺骨観」は人によって大きく違います。永代供養墓を選択にあたっては、自分の心をみつめ、他の親族の気持ちを聞くことから始まります。

さまざまな遺骨観

  • 遺骨は故人そのもの
  • 遺骨は故人の霊魂が宿るところ
  • 遺骨は故人の霊魂の一部が宿るところ
  • 遺骨は故人の霊魂が還ってくる場所
  • 遺骨に死後しばらくは霊魂が宿り、やがて自然物となる
  • 遺骨は遺骨と霊魂は別であり、遺骨は物質であり、どのように扱ってもかまわない
  • 遺骨は物質に過ぎないが、粗末に扱ってはならないもの

あなたは、どういった遺骨観をもっておられますか?

(ア)や(イ)の人にとって、いきなり合葬というのは、受け入れがたいでしょう。一方、(カ)や(キ)の考えの人は、合葬に抵抗はあまりないでしょう。遺骨観は、大切な人を亡くしてからの時間によっても変化します。

言葉の意味をよく確認

先述のように、「合葬」「合祀」は、同じ意味にも別の意味にも使われます。ひとつのカロートに共同埋蔵する場合のほかに、それぞれの遺骨を骨壺に入れて納骨室を共同使用する場合も「合葬」「合祀」が使われます。一方を前者、もう一方を後者に使い分けるケースもあります。このため、「時限個別墓」と思って契約したら、合葬だったという行き違いが起きかねません。墓地の契約をする際は、「合葬」「合祀」が何を意味するか、確認する必要があります。

樹木葬は合葬墓?

最近増えている樹木葬は、自然の中ある木や、霊園に植えた木を墓のシンボルとし、木の周辺に遺骨を納めます。樹木葬も他の永代供養墓と同じで、合葬タイプ、個別墓タイプ、一定期間後に合葬するタイプがあります。

死後事務では生前に遺骨観を聞く

難しいのは、死後事務委任などで、身寄りのない方の遺骨を納める場合です。遠縁の親族に聞いても「お任せします」といった答えしか返ってこないことがあります。したがって、生前に、委任者の遺骨観について、しっかり聞いておくことが大切になってきます。