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相続の際、遺産分割をしない人の割合、しない理由は?
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相続があると必ず遺産分割するとは限りません。相続人間で遺産分割協議をせずに相続を終えるケースも少なくありません。
「遺産分割せず」36%
法務省民事局の令和4年9月発表の調査では、相続を経験した人のうち、「相続人間で遺産分割をした」と答えた人の割合は57.6%でした。「しなかった」のは36%です。
遺産分割をしない理由は?
遺産分割をしなかった理由
財産はあったが必要性を感じなかった 35.5% 相続放棄をした 21.5% 財産がなく必要がなかった 14.5% 遺言があり必要がなかった 13.4% 遺産分割の手続がわからなかった 1.5% その他 13.5% 「しなかった」理由が気になるところです。「財産がない」「遺言がある」場合はわかりやすいですが、最も多い「財産があったが必要性を感じなかった」はどういうことでしょうか。
不動産等がなく、相続税申告をしないなら不要
遺産分割協議書が必要になるのは、不動産や自動車の名義変更をするとき、相続税申告をするときなどです。ほとんどの金融機関では、口座解約をするのに遺産分割協議書は必要ありません。各金融機関が用意する書面に相続人全員が署名し押印すればよいのです。したがって、相続税がかからない範囲の相続財産で、不動産などがない場合は、遺産分割協議書を作成しなくてもよい、ということになります。
また、不動産があっても、法定相続分で分割するときは、法務局は遺産分割協議書の提出を求めません。そもそも、相続人が1人の場合は、他に包括遺贈者でもいない限りは、遺産分割する余地はありません。こうした人たちが「35.5%」に入ります。
法務省が問題視するのは、不動産があるのに、遺産分割せず相続登記しない人たちです。こういう人たちが持つ土地が、「所有者不明土地」の予備軍となっていきます。
相続人だけで合意74%
なお、遺産分割をした人の中で、「相続人だけで相談し、合意した」人は74.1%、専門資格者が加わったのは22.2%でした。親族だけで遺産分割を行う人が多いようです。今後、相続登記手続きをすることになった場合の対応としては、「自分で調べて自ら手続きを行う」が41%、「専門資格者に相談する」が40%でした。
この調査は、法務省民事局が、令和4年7月26日から31日まで、本人、配偶者、親が不動産を所有している20代以上の成人男女1200人を対象にwebアンケートにより実施しました。