奈良の公証役場の遺言手数料は?

手数料は政令で定め全国一律

公正証書遺言に限らず、公証人が公正証書を作成したときの手数料は全国一律です。政令の「公証人手数料令」に定められています。公証役場ごとに定めているわけではないので、奈良の公証役場が高い、安い、といったことはありません。

遺言書に記載する財産の額で手数料は変わる

遺言書は「法律行為に係る証書」にあたり、手数料は「法律行為の目的の価額の区分に応じ」(手数料令第9条)定められています。「法律行為の目的の価額」とは、「その行為によって得られる一方の利益を金銭で評価したもの」です。遺言書の場合は、遺言の目的とする財産の額、つまり、遺言書に記載する財産の額です。これによって手数料が変わります。

財産の額は、どうやって把握するかというと、不動産は固定資産税評価証明書、預金は通帳の写し、有価証券の場合は取引残高証明書などで公証役場が確認します。預金や有価証券については、メモ書きで良い場合もあります。

公証人手数料令で定められた手数料

遺言書記載の財産手数料
100万円以下5000円
100万円超200万円以下7000円
200万円超500万円以下11000円
500万円超1000万円以下17000円
1000万円超3000万円以下23000円
3000万円超5000万円以下29000円
5000万円超1億円以下43000円
1億円超3億円以下43000円+(超過額5000万円までごとに13000円)
3億円超10億円以下95000円+(超過額5000万円までごとに11000円)
10億円超24万9000円+(超過額5000万円までごとに8000円)

遺言加算1万1000円

遺言書の場合は、上記の手数料のほかに11000円を加算します(19条第1項)。これを遺言加算といいます。ただし、財産額が1億円を超えるときは加算されません。

出張したら手数料は5割増し

遺言書が遺言者の病床で作成されるときは、遺言加算を除く手数料が1.5倍になります(第32条)。この場合は、公証人が出張することになりますので、1日につき2万円、4時間以内のときは1万円の日当を払わなくてはなりません(第43条)。また、「交通に要する実費の額」、つまり交通費もかかります(同)。

出張してもらったら
手数料×50%+日当+交通費
分、支払額が増えます。

用紙代はけっこう高い

遺言書の枚数が4枚を超えるときは、1枚ごとに250円を加算します(第25条)。これは、公証役場で保管する公正証書遺言の原本のことです。遺言者に渡される正本、謄本はすべて1枚につき250円かかります。

途中でやめたら

公証人が遺言書の作成に着手した後、遺言者の請求でやめたときは、要した時間の一時間までごとに11000円の手数料を受け取ることができます(第33条)。しかし、遺言書作成が完了したときの手数料を超えて受け取ることはできません

遺言取消しの場合は

遺言の全部または一部を取り消すときに作成する証書の手数料は11000円です(19条第2項)

関連条文
公証人手数料令第4条
公証人は、嘱託された事項について、その事務の取扱いを完了した後、又はその事務の取扱いに着手したにもかかわらず、嘱託人の請求によりこれをやめ、若しくは嘱託人その他の列席者の責めに帰すべき事由によりこれを完了することができないこととなった後でなければ、手数料等の支払の請求をすることができない。
2公証人は、手数料等の支払の請求をするときは、嘱託人に対し、請求に係る手数料等の計算書を交付するものとする。