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相続土地国庫帰属で、他人による使用が予定されている土地とは、どんな土地ですか
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「他人による使用が予定」とは
相続土地国庫帰属制度で、そもそも承認申請することができない土地に、「通路その他の他人による使用が予定されている土地として政令で定められるものが含まれる土地」があります。「他人による使用」とは、おおまかに言うと、生活や管理のために「他人が通る」ことです。
政令の「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律施行令」第2条で定められているのは、以下の4つの土地です。
(承認申請できない土地)
- 現に通路の用に供されている土地
- 現に水道用地、用悪水路又はため池の用に供されている土地
- 墓地内の土地
- 境内地
私道があれば承認申請できない
所有地内に私道がある場合は①に当たります。農地では、あぜ道もこれ該当します。こうした土地を国に引き取ってもらうには、「道」部分を分筆して切り離す必要があります。しかし、分筆には費用がかかりますし、「道」部分が所有地として残るため、相続土地国庫帰属とは別の方法で対応策を探ることになります。
かつては「道」として使われ、現在は「道」として使用されていない土地は申請することができます。
農業用水路があっても対象外
②では、農業用の水路に注意が要ります。「田」の土地の中に水路があるケースは少なくありません。
③の墓地とは、墓地として都道府県知事の許可を受けた区域です。許可を受けていなくても、墓石がある場合は承認されない可能性が高いでしょう。
④の境内地とは、本殿、本堂のある土地だけでなく、儀式を行う土地や歴史的な縁のある土地なども含みます。
こうした土地を制度の対象外とするのは、管理について国が使用者と調整しなくてはならず、国の負担が重くなるからです。
関連条文
相続土地国庫帰属法
▽相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律第2条の3
承認申請は、その土地が次の各号のいずれかに該当するものであるときは、することができない。
一 建物の存する土地
二 担保権又は使用及び収益を目的とする権利が設定されている土地
三 通路その他の他人による使用が予定される土地として政令で定めるものが含まれる土地
四 土壌汚染対策法(平成十四年法律第五十三号)第二条第一項に規定する特定有害物質(法務省令で定める基準を超えるものに限る。)により汚染されている土地
五 境界が明らかでない土地その他の所有権の存否、帰属又は範囲について争いがある土地