年収200万円 後期高齢者の保険料はいくら上がる

新しい医療保険改革により、後期高齢者医療制度に加入する75歳以上の人のうち年収200万円の人の保険料負担は、厚生労働省の試算では、2025年度に年額3900円増え、9万700円になります。保険料が増えるのは年収153万円以上で、全体の4割に当たります。それ以下の6割の人の負担は増えません。

後期高齢者保険料イメージ写真

保険料の増額は、段階的に行われます。

24年度の増額25年度の増額
年収211万円超年収153万円以上

     

    年収ごとの保険料試算(年額)

    年収24年度(増加分)25年度(増加分)
    80万円1万5100円+0円1万5100円+0円
    200万円8万6800円+0円9万700円+3900円
    400万円23万1300円+1万4000円23万1300円+1万4000円
    1100万円73万円+6万円80万円+13万円

     

    保険料の上限額

    現在24年度25年度
    66万円73万円80万円

    若年層の医療給付を高齢者が負担

    後期高齢者医療保険制度の保険料を引き上げるのは、①出産育児一時金引き上げの財源確保②現役世代の負担軽減の二つの理由です。

    今回の医療保険改革案で目を引くのは、若年層に対する給付金を、高齢者の保険料から拠出することです。「出産育児一時金」は現在、現役世代の保険料などで賄っています。これに後期高齢者医療制度からの拠出金を加え、現在42万円から50万円に引き上げます。現役世代が高齢者の社会保障費を負担するという一般的な図式の逆になります。

    現在、75歳以上の人が窓口で支払う分を除く医療費のうち、5割は公費、4割が現役世代の保険料からの支援金、1割は高齢者の保険料で賄っています。今年度予算では、給付総額は17兆円。このうち公費8兆円、現役世代の支援金6.9兆円、後期高齢者の保険料1.5兆円となっています。

    今回の改革によって、高齢者の保険料で医療費を賄う割合が増え、現役世代の負担が減ります。現役世代の負担は「6.9兆円-α」、高齢者負担「1.5兆円+α」となるわけです。高齢者の保険料を出産育児一時金に回さなければ、現役世代の負担をさらに減らせますが、そうせずに、一時金に回すのは、世代間の支え合いを見えるかたちにするためなのでしょう。

    全ての世代での支え合い

    12月16日に首相に提出された全世代型社会保障構築会議の報告書は、「全ての世代でこどもや子育て・若者世代を支える視点」が必要としています。それは、本格的な少子高齢化・人口減少時代において最も緊急性が高いのは「子育て・若者世代への支援整備」であって、「子育て費用を社会全体で分かち合い、全ての人が安心して子育てができる環境の整備が何より求められている」との考え方からです。

    これから、高齢者は支えられるだけの存在ではなくなっていくのです。

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