遺産の全部を遺贈することを「全部包括遺贈」といいます。割合を指定して遺贈する方法を「割合的包括遺贈」といいます。「全部包括遺贈」では、遺言書に「全遺産を〇〇〇〇に遺贈する」と書きます。
遺贈とは、遺言によって、他人(受遺者)に財産を無償で与える行為です。これによって、嫁、内縁のパートナー、孫といった相続人でない人に相続財産を与えることができます。
もっとも、包括受遺者は、もらってうれしいプラスの財産だけでなく、債務などマイナス財産も承継することになるので注意しましょう。もらって困る場合は、遺贈を放棄したり、限定承認したりすることができます。期限は、相続放棄と同様、遺贈があったことを「知った時から3か月」です。
また、相続人であれば、不動産の相続登記をしなくても、不動産の持分の取得を第三者に対抗することができますが、包括受遺者は、登記がなければ第三者に対抗できません。
関連条文
民法
▽民法915条
相続人は、自己のために相続の開始があったことを知った時から三か月以内に、相続について、単純若しくは限定の承認又は放棄をしなければならない。ただし、この期間は、利害関係人又は検察官の請求によって、家庭裁判所において伸長することができる。
▽民法964条
遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる。
▽民法990条
包括受遺者は、相続人と同一の権利義務を有する。