亡くなった不動産所有者の意思にかかわらず、その配偶者は、相続開始(死亡時)から最低でも6か月間は、居住していた建物に無償で住むことができる権利です。
居住できる期間は
・相続開始から6か月
・遺産分割によって建物の相続者が決まった日
のいずれか遅い方の日です。
遺言によって配偶者以外の相続人が指定されていたときは、その相続人が配偶者短期居住権の消滅を申し入れた日から6か月が経過する日まで、となります。
条件
配偶者が、被相続人所有の建物に、相続開始時に、無償で居住していたこと
配偶者の権利義務
- 居住建物取得者の同意を得て第三者に使用させることができる
- 以前からの用法に従い、善良な管理者の注意をもって使用しなければならない
- 第三者に権利を譲渡できない
- 相続放棄した場合も権利は発生する
配偶者居住権(長期居住権)と異なる点
- 賃貸するなど収益することは一切できない
- 相続分に算定されない
- 第三者に対する対抗力がない
関連条文
▽民法第1037条
配偶者は、被相続人の財産に属した建物に相続開始の時に無償で居住していた場合には、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める日までの間、その居住していた建物の所有権を相続又は遺贈により取得した者に対し、居住建物について無償で使用する権利を有する。ただし、配偶者が、相続開始の時において居住建物に係る配偶者居住権を取得したとき、又は第891条の規定に該当し若しくは廃除によってその相続権を失ったときは、この限りでない。
一 居住建物について配偶者を含む共同相続人間で遺産の分割をすべき場合 遺産の分割により居住建物の帰属が確定した日又は相続開始の時から六箇月を経過する日のいずれか遅い日
二 前号に掲げる場合以外の場合 第三項の申入れの日から六箇月を経過する日
2 前項本文の場合においては、居住建物取得者は、第三者に対する居住建物の譲渡その他の方法により配偶者の居住建物の使用を妨げてはならない。
3 居住建物取得者は、第一項第一号に掲げる場合を除くほか、いつでも配偶者短期居住権の消滅の申入れをすることができる。