成年後見人の仕事として、身上保護と財産管理があります。身上保護と聞くと、食事の世話や介護をイメージしがちですが、成年後見制度において対象になりません。生活や医療、介護に関する契約、支払いなどをするのが身上保護です。
身上保護=生活、医療、介護に関する契約
身上保護の具体例
本人の意思を尊重し、心身の状態や生活状況を確認(見守り活動)しつつ身上保護をしなければなりません。本人と面会し、ケアマネージャー、介護職、医師、看護師らの意見をよく聞きます。
具体的には以下のような行為です。
- 住居の確保、生活環境の整備
家賃、固定資産税の支払い。家の増改築契約 - 要介護認定の申請、不服審査の請求
- 介護サービス利用契約、費用の支払い
- 介護施設の入退所契約、処遇のチェック
- 診療契約、医療費の支払い
このほか、本人の利益を代弁するアドボカシー活動などがあります。
身上保護に含まれない行為
身上保護の対象とならないのは以下のような行為です
- 食事の世話
- 住居の指定
- 実際の介護
- 医療行為についての同意・不同意の決定権
手術、延命措置などは本人、家族に決定権があります - 遺言、婚姻、養子縁組
関連条文
民法
▽民法858条
成年後見人は、成年被後見人の生活、療養看護及び財産の管理に関する事務を行うに当たっては、成年被後見人の意思を尊重し、かつ、その心身の状態及び生活の状況に配慮しなければならない。