農地法の適用を受ける農地とはどんな土地ですか

農地法における農地とは、「耕作の目的に供される土地」(農地法2条1項)です。耕作とは、「土地に労費を加え肥培管理を行って作物を栽培する」ことをいいます。肥培管理とは、農作業全般のことです。耕し、種をまき、水の管理をし、肥料をやり、農薬を散布することなど全部ひっくるめたものです。

平たく言うと、農地とは、労力やお金を使って、作物を管理しながら栽培するための土地ということです。これはわかりやすいでしょう。

農地法上の農地

耕作されていなくても農地

しかし、農水省の事務次官通知では、以下の点も補足しています。

現に耕作されている土地のほか、現在は耕作されていなくても耕作しようとすればいつでも耕作できるような、すなわち、客観的に見てその現状が耕作の目的に供されるものと認められる土地(休耕地、不耕作地等)も含まれる。

農地法関係事務に係る処理基準について

農地法の「目的に供される」がくせものであることがわかります。現状では作物を作らず放置している土地でも、がんばって田畑に戻せるなら農地だというのです。草ぼうぼうなら草を刈りましょう、という立場です。

ここで問題になってくるのが、「耕作しようとすればいつでも耕作できる」の解釈です。これが各農業委員会の判断になってくるのです。ジャングルのように草ぼうぼうならどうか、竹藪化していたらどうか、大木が数本立っていたらどうか、明確な線引きはありません。

登記地目とは関係ない

事務次官通知では次のようなくだりもあります。

農地等に該当するかは、その土地の現況によって判断するのであって、土地の登記簿の地目によって判断してはならない。

農地法関係事務に係る処理基準について

これは、登記簿では農地になっていても、現状が違っていれば農地とは判断せず、登記簿で宅地など他の地目になっていても、農地として利用していれば、農地と判断する、という意味です。

登記簿上は農地でも、長い間、農地利用されていない土地は、非農地と判断され、農業委員会が管理する農地台帳から除外されることがあります。また、すでに転用許可をとっているのに地目が農地のままといったこともあります。この場合、改めて転用許可を受ける必要はありません。

課税地目は要注意

逆に、仮に地目が宅地でも、農地として台帳に記載されていると、農地法上の許可が必要になります。実際、登記地目は宅地、課税地目は農地という例が数多くあります。農地は固定資産税が安く、作物を栽培して農地として扱ってもらっているのです。固定資産課税台帳と農地台帳が「農地」として一致していると、転用許可を受けなければなりません。

関連条文
農地法2条
この法律で「農地」とは、耕作の目的に供される土地をいい、「採草放牧地」とは、農地以外の土地で、主として耕作又は養畜の事業のための採草又は家畜の放牧の目的に供されるものをいう。

農地法