自分で書いた遺言は無効になりやすいと聞きました。どういう場合に無効になりますか

形式を守らないと無効

まず、形式面のルールを守らないと無効になります。自筆証書遺言について、民法では①遺言書の全文と日付を自分で書く②署名してハンコを押す――という決まりがあります。

日付ついては、ない場合はもちろん、「7月吉日」などと不明確な書き方をしても無効になります。

紙やペンの種類や、枚数、行数によって無効になることはありません。

財産目録はパソコンで打ってもかまいませんが、全ページに署名押印しなくてはなりません。

訂正の仕方にも細かいルールがあり、間違いやすいことから、訂正するなら最初から書き直すことをお勧めします。

遺言が無効
になるケースのイメージ写真

遺言能力がなければ無効

形式的には満たしていても、「遺言能力がなかった」と相続人に訴えられて裁判所が無効と判断するケースがあります。遺言能力とは、内容と結果を理解する能力です。認知症であっても重度なでなければ、遺言能力が認められる可能性があります。

無効とまでいかなくても、内容がわからないため、銀行などで手続きが煩雑になることもあります。どの財産を誰に相続させるのか、第三者にもわかるように明確に書きましょう。

関連条文
民法第968条 自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。
2 前項の規定にかかわらず、自筆証書にこれと一体のものとして相続財産(第九百九十七条第一項に規定する場合における同項に規定する権利を含む。)の全部又は一部の目録を添付する場合には、その目録については、自書することを要しない。この場合において、遺言者は、その目録の毎葉(自書によらない記載がその両面にある場合にあっては、その両面)に署名し、印を押さなければならない。
3 自筆証書(前項の目録を含む。)中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を付記して特にこれに署名し、かつ、その変更の場所に印を押さなければ、その効力を生じない。

民法