遺言書の財産目録に写真を載せてもいいですか

貴金属を遺言書に書く場合、本体に刻印がなく、保証書などを紛失していると、財産を特定するための情報が十分ではないときがあります。こうした場合、「写真の添付ではだめだろうか」と考える人がいます。

写真で財産を特定することは困難

遺言書に添える財産目録に書式上の決まりはなく、写真を付けること自体は問題ありません。しかし写真のみで財産を特定することは困難です。あくまで、補助的資料とすべきでしょう。

「別紙1の貴金属を長女橿原花子に相続させる」と遺言して、下のような財産目録を付けた場合を考えてみましょう。

写真のみの財産目録

家族なら、「あっ、あれね」となるかもしれません。相続人間で仲良く財産を引き継ぐなら問題は起きないでしょう。

しかし、遺言執行者や裁判官など第三者が判断する立場になると、写真と実物が同一であると断定することは困難です。同じようでもあり、同じでないようでも…。写真と似たような指輪はいくらでもあります。後から、写真とそっくりの実物が出てこないとも限りません。

財産は文字で特定するのが基本

写真のみを特定資料にすると、こうした同一性の問題をクリアできません。財産目録には、公的に登録された情報など、その財産の属性を文字で表す情報を記載する必要があります。

貴金属なら、製造者、シリアルナンバー、素材、サイズなどがこれにあたります。すべてわからないなら、鑑定してもらったり、貸金庫など保管場所で特定したりする方法があります。

署名・押印忘れずに

写真を載せるときは、写真を紙に糊付けするのではなく、文字情報と写真を一緒に載せたファイルをプリントアウトして、その紙に署名・押印するとよいでしょう。財産目録は、各ページに署名・押印が必要です。