一般の方にはなじみが薄いのが公証役場です。しかし、法律行為においては、とても重要な役割を果たします。文書が「正しいこと」「本物であること」について信用度を高めてくれる役場です。書類を公正証書にすることがで、紛争が予防できたり、手続きがスムーズになったりします。

全国に300か所

公証役場は全国に300か所あります。奈良では、奈良合同(奈良市大宮町3)と高田(大和高田市大中)の2か所があります。

公証役場の写真

公証役場では公証人が執務しています。公証人になるには、高度な法律知識、法律事務経験があることが条件になり、法務大臣が任命します。定年後の検察官や裁判官が目立ちます。法曹有資格者からは法務省が年3回公募しています。公証人は全国に約500人います。

手数料制の公務員

公証人は国家公務員法に定めはありませんが、実質的に法務局に所属する国家公務員です。しかし、国から給料をもらっているわけではなく、国が定めた手数料収入によって事務所を運営しています。このため「手数料制の公務員」ともいわれます。

公証人の主な仕事は次の三つです。
①当事者の嘱託で遺言や契約などの公正証書を作成
②外国宛ての文書や定款に認証付与
③確定日付の付与

公正証書に高い証明力

公正証書は、法律行為その他私権に関する事実について、公証人が作成する文書です。法律行為については、あとになって関係者から疑義が出ることがありますが、公的なお墨付きのある公正証書には高い証明力があり、そうした疑義を封じる力があります。

信頼性が高いことから、他の方式の文書では求められるものが免除されます。例えば、公正証書遺言は、自筆証書遺言のように裁判所による検認が必要ありません。また、公正証書でなければ認められないものがあり、任意後見契約がそれにあたります。

直ちに強制執行

公正証書は強制執行にも使われます。金銭の支払いついて、債務者が直ちに強制執行に服する旨の陳述が記載されていれば、裁判所に訴えなくても、直ちに強制執行ができるのです。こうした公正証書を執行証書といいます。

関連条文
公証人法1条
公証人ハ当事者其ノ他ノ関係人ノ嘱託ニ因リ左ノ事務ヲ行フ権限ヲ有ス
一 法律行為其ノ他私権ニ関スル事実ニ付公正証書ヲ作成スルコト
二 私署証書ニ認証ヲ与フルコト
公証人法13条
裁判官(簡易裁判所判事ヲ除ク)、検察官(副検事ヲ除ク)又ハ弁護士タルノ資格ヲ有スル者ハ試験及実地修習ヲ経スシテ公証人ニ任セラルルコトヲ得
13条ノ2
法務大臣ハ当分ノ間多年法務ニ携ハリ前条ノ者ニ準スル学識経験ヲ有スル者ニシテ政令ヲ以テ定ムル審議会等ノ選考ヲ経タル者ヲ試験及実地修習ヲ経スシテ公証人ニ任スルコトヲ得但シ第八条ニ規定スル場合ニ限ル


任意後見契約に関する法律3条
任意後見契約は、法務省令で定める様式の公正証書によってしなければならない。

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