公正証書遺言など公正証書の作成がオンラインでできるようになりそうです。政府は、23年度中に公証人法の改正案を提出し、25年度から運用を始めることを目指しています。これによって、自筆証書遺言を作成する人が公正証書遺言よりかなり多い状況に変化が生じる可能性があります。
公正証書遺言を作成するには、遺言者、証人2人が公証役場に出向き、証書の内容が遺言者の真意であることを確認した上、遺言者と証人2人が署名押印する必要がありました。
公証人法の改正案では、マイナンバー、ファイル交換できるウェブ会議システム、電子署名などを使って一連の手続をオンラインでできるようにします。
遺言書を作成した人を対象にした日本財団の調査(2016年)では、自筆証書遺言が全体の69.5%、公正証書遺言が17.5%でした。法務省の調査(2018年)では、自筆証書遺言を選ぶ理由として「自分だけで手軽に作成(書き換え)することができるから」と答えた人が最多、次に「作成の費用があまりかからないから」が多くなっています。
安全確実な公正証書遺言ですが、「手軽さ」「安さ」の面から自筆証書遺言と比べ少数派になっていました。法改正によって、自宅や病院、施設にいながら公正証書遺言を作成できるわけですから、公正証書遺言の「敷居の高さ」がある程度下がると予想されます。