公正証書遺言の作成日に公証役場には何を持って行けばいいですか?

公証人と調整し、公正証書遺言の文言が固まったら、公証役場に出向いて公正証書遺言を完成させる「作成日」を迎えます。「作成」といっても、すでに遺言書は印字されてできあがっていますので、後は、口授・読み聞かせなど民法に則ったやり取りをして署名捺印するだけです。当日、忘れ物のないようにしましょう。

公正証書遺言のイラスト

遺言者が公証役場に持っていくもの

実印+現金+(本人確認資料)

印鑑登録証明書を前もって提出している場合は実印だけ持って行きます。印影は印鑑登録証明書と照合して、間違いのないようにしましょう。公証人がその場で、実印の印影を確認するケースもあります。

公証役場によっては、実印を持っていても、運転免許証などの本人確認資料を求める所があります

公証人手数料は、事前に公証役場から知らされた額を現金で持っていきます。遺言書が完成して、正本と謄本をもらった後に、公証人などに支払います。

最近は、クレジットカードでの決済もできるようになっています。公証役場のカードリーダーを使う方法と、公証役場からメールで送られてくるURLをクリックして決済する方法があります。ただし、公証役場に手配を依頼した証人の報酬については利用できません。

また、電子マネー決済は導入されていません。

証人が公証役場に持っていくもの

認印+本人確認資料

認印と本人確認資料(運転免許証、マイナンバーカードなど)をもっていきます。認印は朱肉をつけて押しますので、シャチハタ式は不可です。

ハンコをつく男性

作成当日の手順は?

公証役場には20分くらい余裕をもって到着するようにします。時間になると呼ばれますので、公証人の指示通りに、証人2人とともに着席します。

まず、遺言者の本人確認をします。公証人が氏名、生年月日、住所などを聞きます。

次に公証人から遺言の内容について質問がありますので、遺言者はそれに答えます。

その後、公証人が印刷された遺言を渡して読み上げます。

間違いがなければ、公正証書遺言の原本に、遺言者、証人、公証人の順番に署名捺印します。間違いがあれば、その場ですぐ修正してもらえます。

署名のペン、捺印の朱肉とも公証役場の備品を使います。一般家庭ではあまりお目にかからない練り朱肉の場合は、メモ用紙などで練習してから押した方がいいでしょう。署名捺印するのは原本だけです。

最後に遺言公正証書の正本と謄本を受取り、手数料を支払って終了です。原本は公証役場で保管されます。

作成にかかる時間は、遺言者の状況によって変わります。1人15分から40分くらいです。

関連条文
民法第969条
 公正証書によって遺言をするには、次に掲げる方式に従わなければならない。
一 証人二人以上の立会いがあること。
二 遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授すること。
三 公証人が、遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせ、又は閲覧させること。
四 遺言者及び証人が、筆記の正確なことを承認した後、各自これに署名し、印を押すこと。ただし、遺言者が署名することができない場合は、公証人がその事由を付記して、署名に代えることができる。
五 公証人が、その証書は前各号に掲げる方式に従って作ったものである旨を付記して、これに署名し、印を押すこと。

民法