橿原市がコンビニ交付100円キャンペーン

奈良県橿原市で、今年4月1日から、コンビニで交付される住民票の手数料が100円になり、地元でちょっとした話題になっています。期間は2024年4月1日から25年3月末まで。行政のデジタル化推進のための激安策です。

手数料は、窓口交付の手数料の3分の1になります。マイナンバーカードをコンビニのマルチコピー機に読み取らせ、暗証番号を入力すれば、証明書が印刷されます。それほど難しくありません。利用時間は、土日祝OKの6時半から23時までです。住民票以外にも、印鑑証明書、戸籍の附票、課税証明書が100円です。市は「便利、簡単、安い」とPRしています。

橿原市の証明書交付手数料

 住民票戸籍謄本戸籍の附票印鑑証明書課税証明書時間
コンビニ交付100円200円100円100円100円6:30~23:00
窓口交付300円450円300円300円300円9:00~17:15 土日祝除く

奈良市が先行、今も10円

しかし、奈良県内では、橿原市をしのぐコンビニ激安交付を行っているところがあります。奈良市です。なんと、手数料10円。すでに2023年1月から実施していて、25年3月末まで継続します。10円ということは、コンビニのコピー代を除くと、実質0円です。

 住民票戸籍謄本戸籍の附票印鑑証明書課税証明書
奈良市10円10円10円10円10円

コンビニ交付実施は市区町村の74%

コンビニ交付は、マイナンバーカードが導入された2016年1月からスタートし、徐々に拡大してきました。

24年6月4日現在、コンビニ交付を実施している市区町村は全国で1291に上ります。全国には1747の市区町村がありますので、実施率は74%です。39の市町村がある奈良県では、すでに29市町村で実施しています。実施率は全国並みです。

奈良県内のすべての市、三宅町以外のすべての町は、コンビニ交付サービスを始めています。実施していないのは、いわゆる「奥大和」の村に多く、村内にコンビニがないところもあります。

奈良県内でコンビニ交付サービスを行っていない自治体

三宅町、曽爾村、東吉野村、川上村、上北山村、下北山村、十津川村、野迫川村、天川村、黒滝村

自治体がコンビニ交付サービスを行うか否かは任意です。このサービスを実施するには、住民基本台帳ネットワークを運営する地方公共団体情報システム機構に負担金(注1)を払わなくてはなりません。費用対効果の観点などから、小規模な自治体ほど、実施に慎重になる傾向があります。

(注1)新規にコンビニ交付サービスに参加する町村が、地方公共団体情報システム機構に支払う年額の運営負担金は、34万5481円(税込)です。また、コンビニには、証明書1通あたり117円の(税込)の委託手数料を払います。

交付証明書を限定する自治体も

橿原市や奈良市では、住民票、印鑑証明、戸籍謄本・附票、課税証明書のコンビニ交付が受けられますが。これらすべての証明書の交付を受けられない自治体もあります。香芝市、葛城市、御所市などは、住民票と印鑑証明書のみコンビニ交付されます。大和高田市はこれに加え、課税証明書が交付されます。桜井市や宇陀市などはすべて交付されます。

窓口より50円~100円減額も

話を手数料にもどしましょう。

総務省は2022年8月に、マイナンバーカードの普及を図るため、コンビニ交付手数料を、窓口より安くするよう市区町村に要請しました。橿原市や奈良市の手数料減額は、この要請の延長線にあります。

奈良県内の他の市町村でも、コンビニ交付手数料を、窓口より50円~100円安くしているところがあります。

住民票の交付手数料

 大和高田市香芝市桜井市天理市
コンビニ交付200円200円250円250円
窓口交付300円300円300円300円

3年前から10円!

全国的に見ると、奈良県内よりずっと早くからコンビニ激安交付を行っている自治体があります。東京都港区は、新型コロナの感染拡大に伴う住民負担の軽減策として、今から3年前の21年4月からコンビニ10円交付を始めており、この措置は現在も続いています。埼玉県入間市は、デジタル化推進を目的に22年2月から23年3月までコンビニ10円交付を行いました。総務省の要請は、この間に出されたものです。

行政書士は、職務上、戸籍謄本や住民票を取得することが多く、大半は郵送で取り寄せます。今年10月からは、郵便料金が3割ほど上がることですし、経費節減のために、可能な方にはコンビニ交付で取得していただく、といった対応も考えているところです。