かつては珍しかった社寺でのライブ。最近はよく開催されるようになりました。2023 年大晦日に放送されたNHK紅白歌合戦でもお寺からの中継がありました。東本願寺(京都市下京区)の能舞台がAdoさんのステージとなったのです。能舞台に据えたケージのよう装置の中で、ヒット曲「唱」に合わせてシルエットが舞いました。

東本願寺の全景写真
東本願寺(京都市下京区)

重文の能舞台、ふだんは非公開

当日、Adoさんのステージを見ようと、東本願寺に駆けつけた人がいました。年明けにも、その能舞台を一目見ようと訪れた人が多かったようです。この能舞台は普段、非公開の建物ですので見ることはできません。

先日、参拝したところ、参拝接待所の入り口に「能舞台は通常、非公開となっている施設のため、せっかくお越しいただきましたが、ご覧いただいくことはできません。何とぞ、ご了承くださいませ」と張り紙がありました。がっかりされた方もおられたでしょう。

「京の冬の旅」で特別公開

しかし、チャンスがありますのでご安心ください。1月6日から3月15日までのイベント「京の冬の旅」(京都市など主催)で見学できるのです。

能舞台は、御影堂の奥にある諸殿の中の建造物です。諸殿は、近代和風建築を代表するものとして23年9月、重要文化財に指定されたところで、「京の冬の旅」では、僧侶の案内で特別公開されます。

完全予約制

期間中の毎週金曜と土曜の9時半からと12時半からの2回、所要時間は約1時間です。定員は各回40人。料金は小学生以上1人2000円。インターネットによる完全予約制です。問い合わせは、「京の冬の旅」コールセンター(075-585-5181)まで。

Adoの名前は狂言の「あど」(脇役)から

能舞台は、明治13年建築。一重の切妻造で、建築面積は59.41㎡です。22年10月には、西川貴教さんのコンサートが開かれています。

紅白で能舞台がAdoさんのステージに選ばれたのは、名前の由来が狂言の「迎合(あど)」にあるからでした。迎合とは、主役「仕手」に対する脇役のことです。X(旧ツイッター)の書き込みによると、小学校の国語で狂言「柿山伏」の授業があり、「アド」という言葉の響きが気に入ったからだそうです。1作目となるスタジオ・アルバムのタイトルは「狂言」でした。