尊属、卑属とも日常生活ではあまり使われない言葉ですが、相続の場面ではよく登場します。

尊属血族のうち自分より前の世代父母、祖父母、おじ・おばなど
卑属血族のうち自分より後の世代子供、孫、おい・めいなど

きょうだい、いとこは同じ世代なので尊属でも卑属でもありません。

血族とは、血のつながったもの(血族)をいいますが、民法では、生物学的な血縁(自然血族)だけでなく、養子・養親(法定血族)も血族とします。配偶者の父母、きょうだいらは血族ではなく姻族といいます。

相続では「直系」か「傍系」かが問題になります。直系とは、直線的に親子関係の連鎖で結ばれている関係です。したがって、おじ・おばは尊属であっても「直系尊属」ではなく、おい・めいは卑属であっても「直系卑属」ではありません。直系尊属、直系卑属は、被相続人の配偶者とともに相続人になります。

直系尊属父母、祖父母など
直系卑属子供、孫、ひ孫など

祖父母が相続人になるのは非常にレアなケースです。ひ孫は、不動産で長期間相続手続きが行われていなかった時などに相続人として登場します。

血族には、相続人になる順番があります。

  • 直系卑属
  • 直系尊属
  • 傍系血族

傍系血族とは、共通のルーツを通じてつながる血族です。ルーツが父母の場合は、きょうだい、おい・めいなどがそれに当たります。

直系卑属と尊属が同時に相続人になることはありません。直系卑属がいないときに、直系尊属が、直系尊属がいないときに傍系血族が相続人になります。被相続人の配偶者は常に相続人になります。

尊属、卑属では法定相続分に違いがあります。

相続人法定相続分の割合
配偶者と直系尊属配偶者3分の2  直系尊属3分の1
配偶者と直系卑属配偶者2分の1  直系卑属2分の1
配偶者と傍系血族配偶者4分の3  傍系血族4分の1

傍系血族より直系尊属、直系尊属より直系卑属の方が法定相続分が多くなります。

関連条文
民法887条
被相続人の子は、相続人となる。
2 被相続人の子が、相続の開始以前に死亡したとき、又は第891条の規定(注:欠格事由)に該当し、若しくは廃除によって、その相続権を失ったときは、その者の子がこれを代襲して相続人となる。ただし、被相続人の直系卑属でない者は、この限りでない。
3 前項の規定は、代襲者が、相続の開始以前に死亡し、又は第891条の規定に該当し、若しくは廃除によって、その代襲相続権を失った場合について準用する。
民法889条
次に掲げる者は、第887条の規定により相続人となるべき者がない場合には、次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二 被相続人の兄弟姉妹

民法

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